まっ赤なアネモネの花の従兄、きみかげそうやかたくりの花のともだち、このうずのしゅげ
の花をきらいなものはありません。
 ごらんなさい。この花は黒繻子ででもこしらえた変り型のコップのように見えますが、その
黒いのはたとえば葡萄酒が黒く見えると同じです。

    宮沢賢治「おきなぐさ」より
安比高原の「カタクリ」・「ネコヤナギ」
作品ID1085

うずのしゅげを知っていますか。
 うずのしゅげは、植物学(しょくぶつがく)ではおきなぐさと呼(よ)ばれますが、おきなぐさという名はなんだかあのや
さしい若(わか)い花をあらわさないようにおもいます。
 そんならうずのしゅげとはなんのことかと言(い)われても私にはわかったようなまたわからないような気がします。
 それはたとえば私どもの方で、ねこやなぎの花芽(はなめ)をべんべろと言(い)いますが、そのべんべろがなんのこ
とかわかったようなわからないような気がするのと全(まった)くおなじです。とにかくべんべろという語(ことば)のひび
きの中に、あの柳(やなぎ)の花芽(はなめ)の銀(ぎん)びろうどのこころもち、なめらかな春のはじめの光のぐあいが
実(じつ)にはっきり出ているように、うずのしゅげというときは

引用:青空文庫
http://www.aozora.gr.jp/

それはたとえば私どもの方でねこやなぎの花芽をべむべろと云いますがそのべむべろが
何のことかわかったようなわからないような気がするのと全く同じです。
                           宮沢賢治「おきなぐさ」より

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