雪童子は、風のように象の形の丘にのぼりました。
雪には風で介殻のようなかたがつき、その頂には、一本の大きな栗の木が、美しい
黄金いろのやどりぎのまりをつけて立っていました。

    宮沢賢治「水仙月の四日」より
安比高原の「やどりぎ」
作品ID1930

雪婆ゆきばんごは、遠くへ出かけてりました。
 ねこのやうな耳をもち、ぼやぼやした灰いろの髪をした雪婆んごは、西の山脈の、ちぢれたぎらぎらの雲を越
えて、遠くへでかけてゐたのです。
 ひとりの子供が、赤い毛布けつとにくるまつて、しきりにカリメラのことを考へながら、大きな象の頭のかたちを
した、雪丘のすそを、せかせかうちの方へ急いで居りました。

(そら、新聞紙しんぶんがみとがつたかたちに巻いて、ふうふうと吹くと、炭からまるで青火が燃える。ぼく
はカリメラなべに赤砂糖を一つまみ入れて、それからザラメを一つまみ入れる。水をたして、あとはくつくつくつ
と煮るんだ。)ほんたうにもう一生けん命、こどもはカリメラのことを考へながらうちの方へ急いでゐました。
 お日さまは、空のずうつと遠くのすきとほつたつめたいとこで、まばゆい白い火を、どしどしおきなさいます。
 その光はまつすぐに四方に発射し、下の方に落ちて来ては、ひつそりした台地の雪を、いちめんまばゆい雪花石
せつくわせきかう
の板にしました。

引用:青空文庫
http://www.aozora.gr.jp/

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