風がどうと吹いてぶなの葉がチラチラ光るときなどは虔十はもううれしくてうれしくて
ひとりでに笑えて仕方ないのを、無理やり大きく口をあき、
はあはあ息だけついてごまかしながらいつまでもいつまでも
そのぶなの木を見上げて立っているのでした。
宮沢賢治「虔十公園林」より |
昔のその学校の生徒、今はもう立派な検事になったり将校になったり海の向ふに小さいながら農園を有ったりしてゐる人たちから沢山の手紙やお金が学校に集まって来ました。
虔十のうちの人たちはほんたうによろこんで泣きました。
全く全くこの公園林の杉の黒い立派な緑、さはやかな匂、夏のすゞしい陰、月光色の芝生がこれから何千人の人たちに本当のさいはひが何だかを教へるか数へられませんでした。
そして林は虔十の居た時の通り雨が降ってはすき徹る冷たい雫をみじかい草にポタリポタリと落しお日さまが輝いては新らしい奇麗な空気をさはやかにはき出すのでした。
引用:青空文庫
http://www.aozora.gr.jp/ |
 |
▲サイトトップページ IHATOVE&APPI 2007 リンクフリー
|
|