赤い封蝋細工のほおの木の芽が、風に吹かれてピッカリピッカリと光り、林の中の雪
には藍色の木の影がいちめん網になって落ちて日光のあたる所には銀の百合が咲い
たように見えました。
                             宮沢賢治「雪渡り」より


安比高原の「ホオノキ」
作品ID-45679

雪がすっかり凍こおって大理
石よりも堅
かたくなり、空も冷
たい滑
なめらかな青い石の板
で出来ているらしいのです。

「堅雪
かたゆきかんこ、しみ雪
しんこ。」
 お日様がまっ白に燃えて百合

ゆり
の匂においを撒
ちらし又
また雪をぎらぎら照ら
しました。
 木なんかみんなザラメを掛

けたように霜しもでぴかぴか
しています。
「堅雪かんこ、凍
み雪しんこ
。」
 四郎とかん子とは小さな雪沓

ゆきぐつ
をはいてキックキック
キック、野原に出ました。
 こんな面白
おもしろい日が、
またとあるでしょうか。いつもは歩
けない黍
きびの畑の中でも、
すすきで一杯
いっぱいだった
野原の上でも、すきな方へどこ迄

まででも行けるのです。平らな
ことはまるで一枚の板です。そし
てそれが沢山
たくさんの小さ
な小さな鏡のようにキラキラキラキ
ラ光るのです。
「堅雪かんこ、凍み雪しんこ。」

引用:青空文庫
http://www.aozora.gr.jp/

▲サイトトップページ  IHATOVE&APPI 2007 リンクフリー